Category Archives: 競馬人生

第58回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

11月 08, 20
asakomori
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2020年11月7日(土)

先週の天皇賞・秋で、またまた歴史的な快挙がなされた。単勝1.4倍で史上初の芝GⅠ8勝の偉業をアーモンドアイが達成した。天皇賞・秋の連覇は史上2頭目。そしてシンボリルドルフやディープインパクト、キタサンブラック等々の名馬を超えた。ルメール騎手は、嬉し涙を何回も見せていた。そして言葉もなかなか出てこなかった。インタビューでも「素晴らしい馬だ。信じられないパフォーマンスを見せてくれた」偉業を達成したアーモンドアイを誉めたてえていた。競馬場にはいなかったが、その涙は最高の涙だったに違いない。

≪天皇賞・秋 払い戻し≫
単勝⑨ 140円  枠連5-7 780円  馬単⑨⑥ 1180円
三連複⑥⑦⑨ 960円  3連単⑨⑥⑦ 4130円

そして他にも、コロナに負けない嬉しいニュースが、今週も競馬界に沢山あった。
10月31日(土)にはこれも史上初、白毛のソダシは重賞2連勝、3戦3勝となりここにもアイドルホースが誕生した。また、11月29日(日)行われるJCには、無敗の3冠牝馬デアリングタクトと無敗の3冠馬コントレイルが、参戦すると発表され、無敗対決が楽しみになったが、もしかするとアーモンドアイも参戦するという。史上最高の戦いとなるかもしれない。そうなると馬券はどうしたらよいのか?今から迷うところだ。そして地方のJBC4Rでは売り上げが100億円を超える売り上げがあった。コロナこれからも負けないようにしたいものだ。

第58回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)IN 東京競馬場

◉上位人気馬の活躍が目立っているハンデキャップ競走

ハンデキャップ競走として行われているアルゼンチン共和国杯だが、近年は堅い決着が続いている。最後に3連単の配当が10万円を超えたのは2009年で、2010年以降の過去10回中9回は、単勝3番人気以内の馬が優勝している。今年も前評判の高い馬が期待に応えるのだろうか、それとも意外な伏兵馬が久々に波乱を演出するのだろうか。(JRAホームページより)
今回は重賞馬が7頭も参戦だ。伏兵馬もそろって…。このレースは、過去10年で1番人気が、5連対。6番人気以下2連対。馬単の最高が12060円。

◎⑤ユーキャンスマイル 岩田康誠  重賞3勝。今回の舞台は最高。左回りは得意。秋の初戦に向かっての万全の態勢が整った58キロのハンデは克服する。実力断然。ここを勝っていざJCへ。
〇⑧サイエントポケット 荻野 極   左回り巧者。充実一途。メキメキ力がついて…。この距離のこの舞台大歓迎。
▲⑱オーソリティ    C・ルメール 青葉賞の優勝馬。仕上がり万全。古馬相手でも54キロ有利。
✖⑦アイスバブル    横山武史   目黒記念2着2回は伊達じゃない。そろそろ走りゴロ。
△⑫メイショウテンゲン 池添謙一   目標をここに掲げて…。東京の馬場は大好き。
△⑥トーセンカンビーナ Ⅿ・デムーロ 距離延長で、見直し。
△①パレリオ      津村明秀   充実一途。距離はあう。要注意。
★⑮サトノルークス   大野拓弥   菊花賞は惜しい2着。この距離はあう。その底力を警戒。

以上を⑤ユーキャンスマイルから 馬単BOXで⑤⑦⑧⑱   12点
馬単マルチ⑤⇔①⑥⑫⑮   8点
三連複⑤→①⑥⑦⑧⑫⑮⑱ 21点
枠連 3枠から総流し    8点
合計           49点

第15回ヴィクトリアM(GⅠ)

5月 17, 20
asakomori
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2020年5月16日(土)

緊急事態宣言がまだまだ続いている東京。新型コロナの感染者の数が減ってきた。みんなの我慢が実を結んだ。しかし本当に解除されてからが怖いかも? でもつくづく思うが、自由はやはり最高かもしれない。その自由はこのところ少し不自由ではあるが? 後しばらくの辛抱。しかし今、地方競馬はインターネットの発達で、馬券が自由に買えるから、売り上げが伸びているそうだ。そうそう競馬は、中央と地方を合わせると毎日、日本のどこかの競馬場で無観客だが行われているのだ。競馬は頭を使うスポーツ。しかも在宅でできるから楽しい。こういう時は在宅万歳だ。
先週の東京競馬場の馬場は、逃げと先行馬が有利な馬場状態だった。しかも物凄い風。そんな中行われたNHKマイルCは、M・デムーロ騎手鞍上の9番人気の伏兵馬ラウダシオンが、物凄い強風をものともせずに、JRAの重賞初勝利をGⅠで勝ち、見事にマイル王に輝いた。
道中は2番人気のレステンシアの2番手で追走して、直線を向いてから馬体を合わせてすぐに先頭に立ち、最後は1馬身半の差をつけて勝った。本当に強かった。デムーロ騎手は、インタビューで、内枠で先行できたのが良かった、またクリフトフの馬も強かったが、僕の馬も強かったと、語っていたのは印象的だった。デムーロ騎手は史上初のNHKマイル2連覇を達成。これでGⅠ32勝目、武豊騎手の77勝に次ぐ単独2位となった。

〈NHKマイルC払戻金〉
単勝⑪ 2960円  枠連2-6 3020円  馬単⑪③ 11900円
三連複⓷⑥⑪ 19620円  3連単⑪③⑥ 152750円

第15回ヴィクトリアM(GⅠ)IN 東京競馬場

◎GⅠ未勝利の馬が活躍している春の女王決定戦

4歳以上の牝馬の多くが春の目標に掲げるヴィクトリアマイル。第1回のダンスインザムードをはじめ、初期の優勝馬にはウオッカ、ブエナビスタ、アパパネといったクラシックホースが名を連ねている。ところが近年に目を向けると、2015年以降の優勝馬は5頭中4頭がGⅠ未勝利馬で、4頭とも単勝5番人気以下と前評判も高くはなかった。伏兵と目されていた馬の戴冠が続く“春の女王決定戦”(JRAホームページより)
今回のレースは、4歳から5歳の有力馬が出走するも、アーモンドアイの1強のレースといわれている。伏兵は多いが、無観客の分、アーモンドアイはレースに集中してGⅠ7冠目をゲット間違いなし…。

◎⑫アーモンドアイ   C・ルメール 王者復活。東京のマイルなら、本当に走りやすい。史上7頭目の芝GⅠ7勝へタイセイ万全。歴史的名馬。間違えなし。
〇①ラヴズオンリーユー M・デムーロ 4戦無敗でオークス制覇。能力抜群。ここは問題ない。打倒アーモンドアイに燃えて…。
▲⑤プリモシーン    D・レーン  末脚磨いて、状態抜群。妥当アーモンドアイに燃えて…。レーン騎手で期待大。
✖⑱サウンドキアラ   松山弘平   充実一途。怒涛の快進撃で、V4のG1勝ちを狙って…。頑張れ!松山弘平騎手。
△⑭スカーレットカラー 石橋脩    前走の末脚に凄みを感じて…。切れ味に警戒。2勝目のGⅠ目指して、虎視眈々の石橋脩騎手。
△⑦ダノンファンタジー 川田将雅   18年度の阪神JFの勝ち馬。マイルがベストな距離で、重賞5勝目を狙って虎視眈々。
△⑯ノームコア     横山典弘   昨年の覇者は、レコードホールダー。マイル適正一番で、連覇を虎視眈々と狙って…。
★②ビーチサンバ    福永祐一   堅実味をかって…。一発あるかも…。注意必要。

以上を⑫アーモンドアイ から馬単 ⑫→①②⑤⑦⑭⑯⑱ で 8点
三連複⑫→①②⑤⑦⑭⑯⑱ で21点
枠連6枠から総流し    で 8点
合計     37点

2019ジャパンカップを観戦

12月 01, 19
asakomori
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2019年12月1日

先週のジャパンカップは、史上初めて外国馬の参戦がなかったが、外国の騎手が参戦した。その中でイギリスの若き天才(24歳)オイシン・マーフィーが、3番人気のスワーヴリチャードが、ゴール前の最内枠を進んで、道悪の馬場も味方して、その切れ味を生かして、見事にゴールイン。まさに神騎乗だった。

ターフビジョンに映し出された出走馬

パドックでのスワーヴリチャード
入場時のゴール板前
誘導馬
大きく映し出されたターフビジョンの文字
スタートは一斉にきれいに出た
ゴールイン
ウイニングランが終わってスタンド前に
ファンにお披露目、優勝のレイをかけて
ご褒美の馬服を着て正々堂々の雄姿

 

2018年日本ダービー観戦

6月 14, 18
asakomori
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日本ダービーの大きなポスター
ダービーのゴール板と入場時の誘導馬
やはりダービーは凄い!
綺麗なスタート
ゴールの瞬間
優勝してスタンド前に戻ってきた福永祐一騎手とワグネリアン
ファンから大声援を受けながら、正々堂々と嬉しそうに検量室へと引き上げた
4回目のダービー馬主になって嬉しそうな金子オーナー
 
ファンの皆様にお披露目、少しやんちゃぶりを見せながらの行進
 
うれしそうな福永唯一騎手。19回目の挑戦でついにダービージュッキーになった。福永家の夢でもあった。親孝行できた瞬間でもあっただろう

 

第17回 自分に忠実に、ひたむきに

5月 27, 17
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私は今でも毎週日曜日は競馬場へ出かけます。そしてブラウス、セーター、ベスト等は必ず馬の柄のものを身につけます。馬のブローチ、馬のイヤリング、馬のペンダントも。そして指輪も馬のデザイン。そのぐらい私は馬が好きだし、競馬のお仕事が楽しいのです。

舞台の仕事をしていたとき、「お客さんには見えなくても一緒の共演者には、ちゃんとこの人は一生懸命役に取り組んでいるのが見えるんだよ」と先輩に言われたことがありました。いつでもどこでも私は自分自身に忠実に生きたいし、人生をひたむきに歩んでいきたいと思います。たぶん競走馬の一生もそうだと思いますが、私は自分が後悔しない一生を送りたいと思うのです。そしてそれによってこそ明るい未来が開けてくるような気がします。

これからも舞台、テレビ、ラジオと忙しく駆け回りますが、競馬の仕事にももちろん力を入れてがんばります。これからも応援してください。よろしくお願いします。

第16回 パドックで見た馬ってすごい!

5月 27, 17
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まだこの放送のお仕事を始める前に、何回かは競馬場の下見所、パドックに行ったことはありますが、パドックはいつも混んでいて、なかなか馬が見えません。ましてやG1レースともなるとよほど前から待っていないと、前のほうで馬を見ることができません。人混みをかきわけながら馬を見ると、どの馬もみんなピッカピッカでとてもきれい。そして「わあ、大きいな。馬ってすごいな」っていつでもそう思いました。このお仕事を始めるようになってからは報道員用のパスをもらったので、パドックの報道専用の場所に行きました。手を出せば馬が舐めてくれそうな至近距離です。私がそのパスで恐る恐る東京競馬場のパドックの前のほうに行ったのは、番組が始まって1カ月位たった平成6年の5月29日、第61回日本ダービーの日。ダービーは1万頭以上の4歳馬から選びぬかれたたった18頭しか出場できません。昔、イギリスのチャーチル首相が「一国のあるじになるよりダービージョッキーになるほうが難しい」と言ったとか。

ダービーに日は晴れ、良馬場。精鋭の18頭が厩務員さんや調教助手さんに引かれながらパドックを静かに回っています。どの馬も背中に光が映えて輝いていました。この時、私は1頭の馬と目が合いました。まんまるく、なんと澄んだきれいな目をしているのだろう。私は思わず感動で涙ぐみそうになりました。その馬の名は、私が第1回目の放送で「皐月賞に勝ち三冠馬になれるのはこの馬」と言ったナリタブライアンです。そしてナリタブライアンは私に「僕はきょう絶対に勝つよ」と言って、微笑んでいるように見えました。そして本馬場では他馬をよせつけず、5馬身もぶっちぎって勝ってしまったのでした。私は放送中またまた感動して声で出ませんでした(パドックで勝つよってウインクしてくれる馬がいたらいいんですけど)。

第15回 ゴンドラ席でのこと

5月 27, 17
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さて競馬場での中継の第一線基地、ゴンドラ席についてお話ししましょう。私は放送中11時頃にスタジオを飛び出し、JR四谷駅から総武線に乗り西船橋駅で乗り換え、JR武蔵野線の船橋法典駅で下車。そのまま長い地下道を通って、途中エスカレーターに乗り、パドックの側の西玄関からエレベーターでG1階へ、そこから文化放送の放送席へ行きます。中山競馬場は1階から4階は一般席、指定席となっています。G1階へと行けるエレベーターを降りてまず目につくのが2台並んだ飲み物の自動販売機。エレベーターを背にして左側に各テレビ局や新聞社やラジオ局、そして来賓室などがあり、各扉に小さな看板が出ています。右側はJRA職員の待機室や報道陣用の馬券売場や払い戻し窓口がならんでいます。

中山は平成2年に改修工事が終わっているので、府中の東京競馬場に比べるはるかにきれいです。馬券売場がなければふつうの会社のオフィスのような感じです(実際、新聞関係の方々は、ここで原稿を書いているのです)。ゴンドラとはぶら下がっているとか吊り下げられているという意味。従って、競馬場のゴンドラ席はスタンドの屋根にぶら下げられているのです。野球場の実況席もそうですよね。そういえば東京競馬場などは、風が強いとゴンドラがよく揺れ、1時間もすると船酔いのようになります。でも眺めはとてもいいんですよ。

第14回 さあ本番開始「朝ちゃんに乗りたい!」

5月 27, 17
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いよいよ競馬キャスターとしての腕の見せ所。4月17日からの放送は朝10時から夕方の5時45分まで、8時間の超生ワイド番組です。

「朝ちゃんに乗りたい」コーナーは朝10時40分から11時までの間の、5分から10分間で、競馬や馬の話をしてから、その日買うレース名を3レース発表して、愛川さんのポケットマネー1万円と局から1万円を貰います。そして愛川さんが視聴者からのお便りを読みます。締めは愛川さんの火打ち3回に、「いってらっしゃい、がんばってね」の声で送り出してもらうのです。

さてこのお金の行方です。愛川さんから預かった1万円分の配当金は愛川さんに返します。局からの1万円はその配当金を毎週いただくはがきの中から1名さまにプレゼントするのです。もし3レースともはずれたら、残念賞として文化放送のテレカです。

私はこの「朝ちゃんに乗りたい」コーナーにはがきが1枚もこなかったらどうしようと思いましたが、毎週何百通もいただいて本当に嬉しかったのです。

そしてお昼の予想の時間は競馬場のゴンドラ席といわれる放送席からの生中継でその日のレポートも交えながらメインレースを含む3レースを予想するのです。このときはスポーツ部の競馬中継もやっている長谷川太アナウンサー(通称のび太さん、漫画「ドラえもん」に出てくるのび太さんそっくりで、プロ野球、サッカー、マラソン、ラグビーなどの実況中継のベテラン花形アナウンサー)と一緒です。

長谷川さんにはずいぶんお世話になりました。番組が始まって1カ月間というもの緊張のあまり食事がまったくのどを通らなかった私を見て、言ってくれたのです。

「森さん、食事をちゃんととらないと身体がもちませんよ。これから長いんですから。かっこんででも、一口でも食べるようにしましょうよ。ぼくも一緒に食べるようにしますから」(やさしいんだなあ、これが)。

こうして一緒にお昼ごはんを食べてくれるようになったのです。そして競馬のことだけでなく、いろんな放送のコツを教えてもらいました。

私の出番は12時45分から58分、まずことに12時50分からは特別なことがない限り、第6レースをやってることが多いのです。初めのころはそのレースのゴール寸前にスタジオから呼びかけられると、ワーワーという大歓声の中で話さなければならず、それに負けずに大声でどなりながらしゃべり返していたので、もともと地声の大きな私は隣の放送局のオンエアーの中にも私の声が入ってしまって、スタッフが平謝りに謝っていたことなど知るよしもありません。また馬の名前を言い間違えたり、1着、2着を1位、2位と言ってしまいました。このときいつも時間がなくなって時報(ちょうど1時)になってしまうこともあります。すると私は自分の予想を時報内に入れたいと焦り、早口がいっそう早くなってしまい、何が何だか分からなくなってしまうのです。ふだんから早口なのに、特に気持ちがのってくるとどんどん早口になっちゃうんです。以前所属していたプロダクションの社長はインテリ風に見えて実は大の競馬ファン。私の早口の放送を聞いてくれて「また気持ちがのってきたな。おもしろいけど言っていることがわからなくなるんじゃないかと、ハラハラ、ドキドキしながら聞いていたよ」と言われました。とにかくせっかく予想したんだし、自分の話も全部聞いてもらいたいと思う一心で、早口放送となり、そんな日はスタジオに戻ると、愛川さんに温かく注意をされました。

そして午後3時台、メインレースの10分位前にいつも呼ばれ、そのときはそれまで私の買った2レースの結果とこれから行われるメインレースのオッズや、パドックで馬を見てどうだったかを伝えて、実況に入るのです。しかしこのメインの前のスタジオからの呼び出しに応える私の第一声の調子で、スタジオでは当たりはずれが分かるそうです。私はなるべく分からないように普通にやろうとするのですが。

実況中継が終わると、一日の結果をもって急いでスタジオへと戻ります。往復はもちろん電車です。だから行きも帰りも、ファンの様子や馬の人気などいろいろ生の情報がレポートできるのです。1レースでも当たったときや、全部的中したときは足取りも軽やか。全部はすしたときはこのまま家に帰りたいという気持ちになり、スタジオの扉を開けるのがとてもいやでいやでたまりませんでした。だって当たったときは、「よかったね、おめでとう。きょうは何分でも話してもいいよ。好きなこと言っていいよ」って、その日の最後の放送時間を私にくれるのですが、初めて全部はずしたときは、プロデューサーが扉の外で待っていて、「きょうは全部はずしてすいません。来週がんばります、で終わってくれ」と言われ、まったく意気消沈(情けないぞ、朝子)。

それ以来私は、帰りはまっすぐにスタジオに寄らずに一緒に出演している報道部の野中直子さんや、交通情報の夕佳ネエサンのところでお茶を一杯飲んでからスタジオに入るようにしました。この2人はどんな時でも「朝ちゃん、おかえり。ごくろうさま」と明るい笑顔で迎えてくれました。放送の中でこの3人は「行かず後家」で通ってしまって、それぞれ番組の中でお見合い相手を募集したり、3人それぞれ対抗意識を燃やしながら、放送を楽しんでいました(こんないい女を3人もほっとくなんて、世の男どもの眼はどうなっているのかねえ)。

第13回 こんなふうにやります、競馬の予想

5月 27, 17
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さて、馬券の買い方です。

枠連で買うのか、馬連で買うのかですが、当然、今や馬連の時代です。当たれば馬連のほうが配当もいいし、馬連にしてほしいという声はずいぶん前からありました。それに堅い馬券じゃつまらない。スポニチの諸星由美さんのように穴馬馬券を狙ってほしいという声もありました。しかし専門的に競馬をやる人はこの番組は聞かない、だから女性のしかもビギナーの私が予想をするのだから、女性対象の馬券の買い方にしたいと思いました。

先ほども書きましたが、つまり堅くて、配当は少ないけれど確実に元返しができる買い方。となると当然、枠連買いです。そして元金は毎週1万円しか使わない。これが競馬に勝つ方法。『チリ山馬券必勝法』であり、私が名付けた『銀行馬券法』です。つまり手堅く買って、配当金を元金を除いて預金しておく方法なのです。「朝ちゃん流競馬必勝法!」これではつまらない、だって今は馬連の時代だよという意見は続出しました。のちにゴンドラに行ったときも、スポーツ部の競馬担当の人にさんざん枠連はつまらないと言われました。

でも私は競馬を知らない女性の方たち、特にご主人が競馬好きだけれど、自分ではまったくやらない主婦の方とか、OLの人たちを対象に、わかりやすく、しかしガツガツしないで、競馬を楽しみながら少しお金を儲けようと、この方法を変えませんでした。今でもそのやり方で枠連を買います。ただし、私の場合、○枠○番という馬と○枠○番を、というやり方で放送していましたので、よく私の予想を聞いてくれている人たちは馬連も買って「ずいぶんと儲かった」なんてあとで言ってくれました。そうなんです、1年間予想して代用的中(つまり、同じ枠の中の私の選んだ馬のとなりに入っている馬のほうがきたケース)は5回しかありませんでしたから、馬連の的中確率だって高いのだと胸を張って言えます。エッヘン!

第12回 いよいよ放送が始まった

5月 27, 17
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本番前日、キャスト、スタッフの顔合わせがありました。そこで初めてラジオの台本をいただいたのです。表紙のキャストのところに私の名前もありました。

「ラッキーエンジェル森朝子」(うまいこと言うな、放送作家は)

誰が名付けたのかうまいニックネームだと感心。さて台本を開くと驚きました。

愛川「この番組の目玉のひとつ、競馬は朝ちゃん、朝ちゃんにおまかせのコーナーです。朝ちゃん、おはよう」

森「(うける)」

愛川「(うける)」

森「(うけて)」

愛川「(うけて)」

森「(うけて)」

愛川「(ここでしめる)」(約何分)「では朝ちゃん、いってらっしゃい。がんばって」

うけて、というのはギャグを言うことではありません。相手の話を引き継ぎ、合わせることなんです。私は今までこんなふうにしか書かれていない台本は初めてだったので、本当に驚きました。テレビドラマや舞台の台本は、台詞がたったひとことであっても書いてあるんです。ラジオの台本は構成台本といってほとんどの場合、簡単にしか書いてなくて、出演者が自分で考えてしゃべるのだそうです。生放送で、しかもその場でレポートや実況をしなければならない私たちは書かれるはずはないのです。だから8時間も生放送をやる愛川さんは本当にたいへんなことなんだなあとあらためて感心。感心ばかりしている朝ちゃんです。

さて愛川さんの例によって楽しき訓示のあと、ひとりずつ紹介されます。

アシスタントの一条圭さん(二代目のアシスタントは藤森涼子さんでしたが)、外回りの寺島尚正アナ、太田英明アナ、ニュースを読む野中直子さん、交通情報の沢田夕佳さん、それからプロデューサーや、ディレクター、ミキサーさん、構成作家の坂内宏先生、山口克久先生などです。

眼鏡をかけ、色白で中肉中背の、ちょっぴり神経質そうだけど、とても物静かな話し方をする坂内先生、よく番組の中で、愛川さんが「バンナイ、バンナイ」と呼んでいた方ですが、私はこの方のひとことで大きく目覚めました。

ラジオの台本はこと細かに書いてあるシナリオはないというものの、コーナーによっては台本を見てしゃべっている人もいるのに気がついた私は、自分で取材したものを書いておいてスタジオに持ち込み、ノートを見ながら愛川さんと話しました。ところがノートばかりに気をとられて、愛川さんに話しかけられても、ちぐはぐな返事。それを目の前で聞いていた坂内先生がとても言いにくそうに、でもやさしく注意してくれました。

「朝ちゃん、台本を自分で作ってきたのはいいと思うけれど、その紙ばかり見ていてはさっきみたいに話がちぐはぐになってしまうよ。紙に書くのはポイントだけにしておいて、来週はとちってもいいから、メモ書き程度の紙を見てやったほうがいいよ」

私は真っ赤になって泣きそうになりながらも言い返してしまいました。

「だって他の人は全部見てしゃべっているのに、どうして私はいけないの」

「彼らはラジオの大ベテランだよ。きみはちがうだろう。とちってもいいよ、がんばれよ」

私の目からは大粒の涙が落ちました。そうだ、誰だって最初はあるんだ。うまくできなくてあたりまえだと思ってがんばろう、とウルウル眼で誓ったのでした。このアドバイスを受けて以来、私はポイントだけを紙に書き、ノートを見なくても話せるようになりました。のちにテレビの生放送に出演してからも、それが平気でできるようになりました。坂内先生には本当に感謝しています(しおらしく)。

それから愛川さんにはこんなアドバイスをいただきました。

「たとえば中継に出たとき、テレビは映像だから目で見えるから、もしもなにかで言葉が詰まって黙ってしまっても、現場の様子はわかる。だけどラジオは音だけで判断するしかないから、きみが黙ってしまったらスタジオではなにもわからない。だからわけがわからなくなっても、絶対に黙ってしまわないように。ラジオは3秒間無音になったら放送事故として局全体の問題になってしまい、責任者が始末書を出さなければならないんだよ」

そのことがいつも頭にあってか中継しているとき、愛川さんは私が0.01秒でも息をのんでしまうと、すかさずしゃべりまくられてしまいます。私はそれにまけじと早口がますます早口でしゃべってしまい、早いとよく怒られました。

まあそんなわけで、いろんなことがありましたが、いよいよ第一回目の放送という前の晩、私は緊張のあまり眠れませんでした。

さて平成6年4月10日は本番の日です。この日は午前10時から午後1時45分までと通常の半分しか放送はありませんでした。第54回桜花賞があり、この日をかわきりに春のG1レースが始まったのですが、私の出番の競馬中継は残念ながらありませんでした。結果はオグリローマンが1着、ツインクルブライトが2着で枠連で1-4、2230円。馬連は万馬券1万8140円でしたが、予想だけでもしていれば、私はツインクルブライトと同枠のメローフルーツを買っていたので代用的中ですが、枠連の予想は当たっていました。

私はこの第1回目の放送のとき何をやっていたかというと、ラジオカーに乗ってQR(文化放送)の寺島尚正アナウンサー(通称てらちゃん)と一緒に、花見客でごったがえす上野公園のお花見中継へと飛び出して行ったのです。てらちゃんと一緒に外に出たのはこれが最初で最後でしたが。

てらちゃんの印象は、頭髪を真ん中から五分五分に分けて、丸い金縁眼鏡。とてもアナウンサーに見えない、いつも笑顔をたやさない面白い人でした。今はすっかり中堅クラスになっているけれど、新入社員のころは、競馬の実況中継をやろうと一生懸命馬の名前を読む練習をしたけれど、馬の名前は覚えられないは、すらすら言うことはできないはで競馬のほうはすっかりやめてしまったということです。

さて上野公園に着いたのは午前10時少し前、見渡すかぎり人の山で、宴会もたけなわ。この日の天気は晴の良馬場状態。カラオケに熱中する人や踊り出す人で、桜も満開。

私は圧倒されっぱなしでしたけれど、とになくてらちゃんの胸を借りての第一声は、スタジオの愛川さんの「朝ちゃんはそばにいるの?」の呼びかけに「はい、キンヤさん、いやすごい人ですよ。あんな楽しそうにカラオケを歌っているので、私は思わずそっちのグループのほうへ行ってしまいましたよ」と精一杯の答えをしました。これが私のラジオ第一声。緊張して眠れなかったのが嘘のようです。案ずるより産むが易し。そしてその後は「CDにドン」というゲームをやりに上野の松坂屋の屋上と向島のおだんご屋さんの店先に行きました。松坂屋の屋上では、てらちゃんがリスナーの皆さんに呼びかけたのです。

「来週から競馬の予想をやる、朝ちゃんこと森朝子さんです。いやあ、本当にきれいな人ですね。こんなきれいな人が競馬の予想をするんだから、世の中変わったねえ。それでどのくらい当たるの?」(とフッてきた)。

今の私ならてらちゃんにきれいだと言われても、「何言ってんのよ。てらちゃんの眼鏡は皆きれいに見える眼鏡でしょ」なんて笑い飛ばせるところなんですが、そのときは上がってしまって「はあ、そうですか。ありがとうございます」なんて、まじめな顔をして美人気取り。「君は美人じゃないんだから気取るな」という大師匠の言葉は、そのときすっかり忘れていたんです。そんな緊張の中で、その日は三度の入中(向島のおだんご屋さん前からの生中継)を終えてほっとひと息。

ほんとうはラジオを聞いてくださっている方たちのために、競馬中継はないけれど、桜花賞の予想を入れておくべきだったかな、と反省しながらQRのスタジオに戻りました。戻ったのは生放送が終了した1時間後。スタジオにはもう誰も残っていませんでした。外回りの仕事は大変なものだと実感。そして、来週、4月17日からはいよいよ競馬場へひとりで出かけることになるのです。